11月

10月の祭りの名残を引きずって、12月の踏み台にされてる11月の唯一無二の個性を見つけるのが人生のゴールの一つとなっている。

この秋なんだか冬なんだかわからない季節のはざまで人は穏やかな寒さに凍えながら衣替えしたり、運動したり、加湿器を出したり、あたたかいものを食べたりする。

私は11月を好きとも嫌いとも思わない。過ごしにくいとは思う。喜びきれないし避け切れない。昔は夏休みが好きだったから夏が好きだった。今は、秋が好き。11月とは言わないけど。

思えば日常も11月みたいなものだ。イベントとイベントの間に押し潰されても確かに存在する時間があって、私の記憶からは消えても他の誰かや何かは覚えている瞬間がある。高校の頃は大体この時期に前期の活動の集大成である大きな公演があって、11月はある種転換期だった。好きになってきたもの、慣れてきたもの、心地よかったものに丁重にお別れを告げてから少し離れてまた違う道を歩くための時期。何かを殺さなければいけないわけでもなく、何かと永遠に縁を切る覚悟をしなくてはいけないわけでもなかった。ただ、距離を置くだけ。

 

11月の意味を決めなくてもいいけど、11月をどう過ごすかをいつか自分の中で納得させられたらいいなと思う。